泣く場面
泣く場面、シチュエーションは、お芝居のように決まったところではない。
これを見て、これを聞いて泣き崩れるなんて、必ずそうではない。
Mが登った山に行って、倒れていたであろう場所に立った。
きっと同行者は、ここで私が泣くなり取り乱すなりするかもと思ったかもしれない。
でも、泣きはしなかった。うるっとはきたけれど、皆んなの前で泣いたりはしなかった。
葬儀の時も義姉に泣いていいんだよ、と言われてもその時には泣かなかった。
その事実を受け入れられない者は、決まった場面で泣く訳ではない。何が起こっているのか、認識できないでいる。
そんな時よりふとした瞬間に激しく泣く。どうしようもないくらいあふれて止まらない。
だからきっと何年経ってもいつまででも泣くんだろうな。
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見事な蓮が咲いていた。